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「あの日からのマンガ」 [本]


あの日からのマンガ (ビームコミックス)

あの日からのマンガ (ビームコミックス)

  • 作者: しりあがり寿
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2011/07/25
  • メディア: コミック


内容紹介
緊急出版!
地震・津波・原発…「あの日」以降の日々を生きる日本に贈る、渾身のメッセージ。
「『たとえ間違えているとしても、今、描こう』と思いました」しりあがり寿。
3.11…史上最悪の震災によって、すべてが変わってしまったあの日。
それ以来、しりあがり寿は、誰にも追いつけないスピードとヴィヴィッドさで、東日本大震災をテーマにしたマンガを描き続けている。
震災からわずかひと月後に掲載され、ネットや新聞・雑誌などに大きな反響を呼んだ月刊コミックビーム発表作を中心に、朝日新聞夕刊連載の4コマ『地球防衛家のヒトビト』など、未曾有の危機の時代に挑むように、アグレッシブに天才が発し続けたマンガ作品を集め、今だからこそ、緊急出版。

「あの日」。
東日本に住んでいる人間で、
「あの日」を忘れられる人は殆どいないだろう。
いつ果てるとも知れない長い揺れに、
揺れているさなかに「何かが起こっている」と思ったが、
よもやまさかこんな事態になるとは予想だにしなかった。

サイバラから「どっちが一番画が下手か」と言われる作者だが、
サイバラもしりあがり寿も、
画よりも内容の深さがあるからこそ(失礼)、
人気もあるしそれ以上の思い入れも生まれる。
「あの日」から1ヶ月後に被災地に行った作者が、
身をもって知った被災地の惨状と人々の思い。
正直に書いてしまうと、
本当に涙が止まらなかった。
私たちが選んだ未来に自然は大きなしっぺ返しを食らわせた。
普通に暮らしてきた国民は、
原子力に疑問を感じながらも大きな反対運動など殆どしない。
過去の津波を教訓に沿岸部に住まなかった人たち、
それでも沿岸部に住まざるを得なかった人たち、
原子力村の恩恵にあずかってきた人たち、
そんなこととは無縁に土地を買って家を建てて液状化にあった人たち、
原発の被災自体とは無縁なのに、
協力会社、仕事だからと命をかける人たち、
全ての人たちに自然は厳しかった。


大手メディアは本当のことを報道しない。


「あの日」以前からわかっていたことだったけれど、
「あの日」からそれはより一層歴然とした。
むしろ作者のように自分の目で被災地を見た人たちや、
記者クラブの属さないジャーナリストたちによって、
被災地や原発の状況は詳らかにされた。
「国家は国民を信じていない。」
「あの日」からそのことが露呈した。

作者の描く内容は厳しい。
だけど何処かに希望のかけらが残っている。
「人間は弱くない、捨てたものじゃない。」
そんなメッセージが感じられる。
いしかわじゅんの「憂国」「約束の地」に匹敵する、
後世に残すべき名作マンガである。
画の好き嫌いはあるだろうが、
絶対に読め!後悔はしないはず。
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