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「パラダイスの夕暮れ」 [Amazon Prime Video]


パラダイスの夕暮れ (字幕版)

パラダイスの夕暮れ (字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/11/01
  • メディア: Prime Video



「真夜中の虹」「マッチ工場の少女」と共に“労働者三部作"といわれ、世界中から高い評価を受けたアキ・カウリスマキ監督初期の傑作。ゴミ収集車の運転手のニカンデルは、スーパーのレジ係のイロナに恋をする。しかしやっとのことで彼女をデートに誘うも、大失敗をしてしまう。ところが、仕事をクビになったイロナが、ニカンデルのもとに転がり込むことになり…。

アキ・カウリスマキ監督の作品を見ていると、
いつも思うことは、
「この演技で魅せる役者はすごいなぁ」ということ。
そもそも毎日の生活で、
ドラマや映画みたいなやりとりなんてしない。
「すげぇなぁ」って思うのは、
大抵現実にはあり得ないことだから。
人生の再現ドラマになるのも稀だからだし、
話題になるのも珍しいとか特別だから。
アキ・カウリスマキ監督の映画は、
そのまったく逆を行くテンション。
殆どの会話は余り感情もなくて、
どちらかと言えば棒読み。
でも原語が違うからなのだろうけど、
日本語の棒読みともまた違う。
言葉の意味を含んだ言い方は感じられる。
そして身体の演技も最小限だけど、
そんなに喜怒哀楽を身体中で表現する普通の人はいない。

だから本当に日常を切り取った様な、
そんな風情にホッとしながら観ることが出来る。
ある意味黒澤明やタランティーノみたいな監督との対極。
さすが小津安二郎に傾倒していただけある。

で、これもまた一貫してその雰囲気で、
おなじみの俳優たち。
理不尽な世の中、
労働者に厳しい世間、
何をしてもなんだかかみ合わない二人、
だけどつかず離れず。
その二人が最後に選ぶ道には度肝を抜かれるが、
これもまたフィンランドならではだし、
それを見送る友人の朴訥とした感じと、
ちょっと羨ましげに見つめる遠い瞳。
そして何事もなかったように去って行く。

大きな感動とか、
拳を振り上げるような興奮はないけれど、
確実に「うんうん」と頷いて、
同意してしまうような世界。
私は本作では、
冒頭から「独立して清掃会社を始めるから一緒にやろう」と言って、
一緒に働き始めたらすぐに休止してしまう男。 
なぜか彼にものすごくかんじょういにゅうしてしまった。

希望が持てればどこでもパラダイス。

ホント、
恋愛も仕事も作られすぎた映画多すぎる。

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