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「真夜中の虹」 [Amazon Prime Video]


真夜中の虹 (字幕版)

真夜中の虹 (字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/11/01
  • メディア: Prime Video




真夜中の虹/浮き雲 [DVD]

真夜中の虹/浮き雲 [DVD]

  • 出版社/メーカー: アップリンク
  • 発売日: 2002/05/24
  • メディア: DVD


南を目指す男の波乱万丈な旅をアキ・カウリスマキ監督が描いた、ハードボイルド・ロマン。炭鉱の閉山で失業したカスリネン。自殺した父のキャデラックに乗り、はるか南を目指して旅に出る。ところが途中、強盗に全財産を奪われ途方に暮れることに。そんな中出会ったイルメリという女性とその息子リキと交流するうち、奇妙な愛情を抱くようになる。

一種のロードムー美^でありがながら、
なかなか移動しないw。
ちょっと動いては停滞し、
また動いては停滞し、
なぜか情を交わすようになる女性と出会い、
その息子ともにも情が移って、
だけど人生は美味く転がらなくて。

そこがカウリスマキの映画なのだけど、
それが何とも酷い話だが、
陰惨さとは無縁に、
相も変わらず延々と続きながら、
辛抱ができずにまた転がり始め、
そして最後は、
「虹の向こうに」なのだ。

人が希望を捨てなければ、
いつかは虹の向こうに行かれる。
「世の中悪いことばかりじゃないよ」
1時間ちょっとのこの映画で、
絶望とどん底を何度も観ながら、
最後には虹が見えるようなマジックアワー。
心が温かくなって微笑んで終わる。

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舞台 「パラサイト」 [WOWOW]

textimg2.jpg

はい、おわかりの通り、
ポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」がベース。
というか、設定は日本に変更しているけれど、
基本的なところは変わらないまま。
何より出演者の顔ぶれ。
古田新太、江口のりこ、伊藤沙莉、宮沢氷魚。
元のストーリーは折り紙付きに加え、
このメンツの舞台となったら観るしかない。
と言ってもWOWOWの放送なんだけど。

いきなり関西弁。
お父ちゃんは家で靴を縫っている靴職人。
「ああ、長田地区なんだな。
 ああ、○○○○○という裏設定なんだな」
と言うことは、
高台の家は芦屋のお屋敷。
まぁ関西に舞台を設定したらエグイエグイ。
何しろ何の意識もなく天然で金持ち、
逆に金持ちの嫌らしさがなかった家族が、
いきなり不動産の成金家族のようにイヤらしい。
そうなると天然で差別していたことが台無し。
古田新太はいつも通りの板についた演技で、
相変わらずの安定感。
だけどソン・ガンホのしみったれているけど、
どこかシュッとして格好良さがにじみ出るところはない。
まぁそれは持ち味。
兄と妹という設定になっているため、
主導権を握るのは宮沢氷魚。
あのクールで肝が据わった格好良かったパク・ソダム、
伊藤沙莉では少々可愛すぎた。
あと宮沢氷魚がそれほど頭が切れる風に見えない。
そこが致命的。
ただし。
江口のりこの肝っ玉かあさんぶりがすごい。
全く体格も違うし雰囲気も違うのに、
より一層の落ち着きと図太さで一家の真ん中にいる。

ケチをつけてもしょうがないし、
そもそも日本の設定にしたところで、
半地下の家なんてないんだから、
そりゃ長田地区と芦屋は格好の場所。
そしてそこにやってくる阪神淡路大震災。
水害を大震災に置き換える。
水が上から下へ流れるという意味、
これが台無しなんだな。
もっとも舞台じゃ難しいだろうけど。

と言うことで、
そこそこ面白いです。
キムラ緑子とか他にも芸達者が多いし。
ものすごく贅沢な配役の舞台。
ただやっぱり翻案っていうのは難しい。
「リスペクトーーー!」もなかったし。
まぁヤミ金からの借金で身を隠しているからしょうがない。
深読みのしすぎなんだろうけど、
芦屋のお屋敷と長田地区の靴職人、
そりゃ接点ないよね。
なんで長田地区があんなに酷い火災になったのか、
そもそもどういう成り立ちの町なのか、
いろいろ考えれば考えるほど、
あの一家が暢気にパラサイトできる方がおかしいと思える。

微妙な設定って難しい。
多分そこを読んで嫌な気分になる人もいるだろうな。
あ、あと主人公一家の名字。
そこにも含みがあるよね。

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「対峙」 [WOWOW]



STORY
アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が勃発。多くの同級生が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。それから6年、いまだ息子の死を受け入れられないペリー夫妻は、事件の背景にどういう真実があったのか、何か予兆があったのではないかという思いを募らせていた。夫妻は、セラピストの勧めで、加害者の両親と会って話をする機会を得る。場所は教会の奥の小さな個室、立会人は無し。「お元気ですか?」と、古い知り合い同士のような挨拶をぎこちなく交わす4人。そして遂に、ペリー夫人の「息子さんについて何もかも話してください」という言葉を合図に、誰も結末が予測できない対話が幕を開ける──。

明日のことは誰にもわからない。
銃乱射はともかくとして、
もしかしたら明日自動車事故で加害者になるかもしれない。
被害者として死ぬかもしれない。 
人は常に様々な立場になることがあり、
その立場が逆転することもある。

哀しいのは、
このどちらの夫婦も息子の死を乗り越えられず、
夫婦として家族として機能不全になっている。
加害者の両親はそのことで充分に苦しんだ。
現在進行形で世間から責められて、
息子についての理解も被害者への陳謝も、
何処かで言い訳めいている。
被害者の両親は相手の苦しみも頭では理解できる。
だけど理不尽に殺された我が子と、
手にかけた相手とその両親へのぶつけようのない怒り、
その不完全燃焼な怒りの炎が燻っている。
「それ」は突然にやってきたのか?
それとも兆候があったのか?
それならなぜあの時であの場所で起きたのか?

どちらの両親も答えは持っていない。
そんなことは6年の間に考え尽くしている。
どちらもそれに対して納得などできていない。
残された家族の現在についても、
お互いに表面を滑るような言葉の応酬。
そしてお互いの納得がいかない部分が噴出して、
彼らは本音をさらけ出していく・・・。

100%の会話劇なので、
この会話部分を語ってしまってはネタバレ。
それはぜひ自分の耳と目で確認してもらうとして。

こうした機能不全家族は多いと思う。
身の上相談などを聴いていても、
家族が全く腹を割っていない、
腫れ物に触るように暮らしている、
そんな風景が浮かぶような言葉も多い。
「親子とは血の繋がった他人」
田口ランディさんのこの言葉で私は悟ったが、
「家族だからわかり合えず」という幻想を未だ持つ人も多い。
なぜ家族内の話を持ち出すかと言えば、
ここで対峙する2組の夫婦もまた、
「家族だから」という前提でものを考えてきたが、
けっきょく「家族だから」こそ、
肝心の部分に触れあうことを避けて、
表面的な平和と平穏を装っていたのだ。
真逆の立場にいながら、
同じように機能不全家族だった。
そのことが意外な作用をもたらす。

地味な映画だし、
正直言ってなんの説明もされないので、
探り探りの台詞の応酬と、
それから推理していくのはかなりつらい。
加害者側は何も言い訳できる状況ではない、
だからこそ理論武装をしていたり、
或いは感情に訴えようとする。
被害者側は理不尽に巻き込まれて、
整理のつけようがない感情をどう表現するのか、
或いは加害者のことを知ってどうしたいのか、
それすらかみ砕くことができていない。
そんな密室での会話劇、
覚悟の上で観たらきっと満足する。
これがベストなのかはわからないが、
ある意味での昇華体験や、
心がスッキリとする思いがちょっと味わえる。

妙な言い方だけど、
ちょっとした心の栄養になる。

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今週の切り花。 [お買い物]

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そろそろ終わりのスイートピー。
今日のは香りもなかなかに強烈で、
甘い香りに誘われて。

芍薬も出始めて、
花は春から初夏へ。 

新緑も美しく、
1年で一番良い季節になりますなぁ。


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豆ご飯。 [料理]

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土曜日の朝、
わいわい市に行ったら、
もうグリーンピースが出ていて、
その中にすでに剥いてある「豆ご飯用」を発見。
小粒だけど柔らかくて美味しそう。
予定外だったけれど、
お昼に豆ご飯を炊くことに。
予定外にタケノコも買ったので、
帰ってからえらい忙しいことになったけどw。

豆ご飯に今が旬の新キャベツとしんたまねぎをつかって、
コールスローとガリバタ。
豆は小粒だっただけあって、
とても甘くてボソボソしたところがなくて大変美味。
今年は3月の寒気のおかげで、
新キャベツがまかなくて高値。
なれどまいていないのを敢えて選んで、
週末の作り置きで小さいのを2個使い切る。
いや、マジでこの時期、
新キャベツと新タマネギでおかずが事足りる。

春の食卓は甘いものが沢山。
全部自然の甘み。

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「異人たち」 [映画]



【ストーリー】
ロンドンのタワーマンションで暮らすアダムは、12歳の時に交通事故で両親を亡くした40代の脚本家。それ以来、孤独な人生を歩んできた彼は、在りし日の両親の思い出に基づく脚本に取り組んでいる。そして幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で住んでいた。その後、アダムは足繁く実家に通って心満たされるひとときに浸る一方、同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちていく。しかし、その夢のような愛おしい日々は永遠には続かなかった……。

多分日本では評価は分かれるだろう、
それは設定の変更から予想できた。
原作は読んでいないが、
もともとの「異人たちとの夏」に存在した違和感、
不自然さのようなものは健在。
主人公がゲイであること。
それが物議を醸すだろうことはわかる。
しかしそれが「異人たちとの夏」には存在しなかった、
世代と時代を超えた親子のちょっとした断絶を招く。
母親は動揺して受け入れられず、
当時「不治の病」とされたものはどうなったのか?
そのことを心配する。
当然だ。
1980年代にAIDSは死の病だった。
それもゲイの人間たちを中心に感染するため、
宗教的、社会的、道徳的に同性愛を受け入れがたい人たちには、
格好の攻撃材料となった。
2階にあがって幼少時の部屋に入ると、
すでに彼がゲイだったことがわかる。
GIジョーの人形、FGTHのポスター、様々な小物が、
彼の内面を表している。
その部屋に父親は入ろうとしなかった。
主人公はその理由を尋ねる。
この物語は12歳前に死んだ両親と、
本当の自分をわかってもらうための、
理解し合うための対話の時間を取り戻す物語。
そこが元の作品とは決定的に違う。
そして両親と会うようになったなお、
満たされぬ孤独と寂しさを共有し埋め会う存在、
心を開く存在を見つける物語。
最後は訳もわからず涙を流していた。

孤独、
寂しさ、
満たされぬ思い、
時代は変わってもなお、
マイノリティであるという思い。
その切なさを満たせるのは、
無条件の無償の愛だけなのかも知れない。

アンドリュー・スコットという俳優、
今まで見ていたのに全く印象に残っていない。
今回「やけに瞳が大きい人だなぁ」と思って、
その瞳の様子がやけに気になった。
ポール・メスカルは安定の不安定さ。
見るものを不安にさせる不安定な脆い雰囲気。
美しく蠱惑的でありながら、
何かが一緒にいるものを不安にさせる。
ビックリしたのは、
オヤジ役がジェイミー・ベル!
あの「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベル!
最初クレジットを見て、
「えーっと、知っている名前だけと誰だっけ?」
で思い出したときのショックw。
でも悪い人じゃないし、
息子のことも理解しようと努めている。

決して派手な作品ではないけれど、
これは意外な拾いものだと思う。
むしろ「異人たちとの夏」は知らなくてもいい。
これはこれで、
非常に現代的に脚色され、
1980年代のヒット曲を背景に、
当時のゲイカルチャーがどんなもので、
マジョリティが向ける視線や抱く認識がどうだったか、
それを繊細に克明に描き出している。

2024年に、
まさかフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドに泣かされるとは。

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「異人たちとの夏」 [Amazon Prime Video]




異人たちとの夏

異人たちとの夏

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2015/12/01
  • メディア: Prime Video


妻子と別れ、孤独な日々を送るシナリオライターは、故郷・浅草の街で幼い頃に死別した若い父母とそっくりな二人に出逢った。だが、美しい恋人・ケイは、二人にもう決して逢わないでくれと迫ってくる。渇ききった現代人の生活に、そっと忍び込んでくる孤独と幻想。お伽話といって笑えない不思議な時間と非現実な空間を描く。

町山さんの「異人たち」の紹介で、
俄然観る気になって、
それならこっちも先に観ておかないと、と。 
公開当時から「良い映画」と話題になっていたので、
もちろん認識はしていたけれど、
そう言われると観たくなくなる天の邪鬼w。
なんかもう最初から「お涙頂戴、感動作」って言われると、
「じゃ、良いか」って思ってしまう。

いやー、みんな若いw。
そしてあの当時の風間さんの仲間たちが一杯。 
昔の映画らしくオープニングで大凡のクレジットが出るので、
「本多猪四郎」「高橋幸宏」「ベンガル」「角替和枝」「笹野高史」「「石丸謙二郎」
その名前でわくわくしてしまった。
一番の存在感は本多猪四郎監督。
さすがの貫禄でございました。
で、実は山田太一原作と言うだけで、
他は全く真っ白の状態で見始めたもので、
監督が大林宣彦あることも、
脚本が市川森一であることも知らず。

参った。
クライマックスでいきなりああいう展開になるとは。
もう笑うしかなかった。
ただ両親と過ごす時間は本当に愛おしくて、
頑固な職人がよく似合う鶴太郎の演技と、
可愛くて妙に色っぽいお母ちゃんである秋吉久美子が素晴らしくて、
風間杜夫の内面が子どもに返るようで、
もはや親子として何の違和感も覚えない。
あの時間の愛おしさは胸に染みる。
だからこそ現実に戻ったときの虚しさ、
余計に愛を求める気持ちも理解できる。

でもなぁ。 
あの時代だからしょうがないんだけど、
最後の最後のあの演出はなぁ。 
あれが原作もそうなのだとしても、
映像化は何か他に方法がなかったかな。
でもあの時代のハリウッド映画とかも、
あんな感じの作品と、
二つの映画が合わさったようなのもあった気がする。



これが今回リメイクされた作品の予告。
なんの興味もなかったので観ていなかったけれど、
「ほう、そういう感じで設定を弄ってきたか」と思ったら、
もう観たくて仕方なくなった。
そしてポール・メスカルが出ているし、
こりゃ観ておかないと公開しそうだな、と。

後半を観ちゃうと別物かな、と思う。 
まぁいろいろあったみたいだし、
「期待していない分面白いと思われる」という利重剛のコメントに、
首が落ちるほど頷きたい。

せっかく名作になりかけたのに、
ああ残念。 
あのアパートの絵作りとか最高なのに。

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「ジュリアン」 [Amazon Prime Video]




ジュリアン(字幕版)

ジュリアン(字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2019/11/13
  • メディア: Prime Video


両親が離婚し母と姉と暮らすことになった11歳の少年ジュリアン。離婚調整の取り決めで共同親権となり、隔週の週末ごとに別れた父アントワーヌと過ごすことに。母ミリアムは頑なに父アントワーヌに会おうとせず、電話番号も教えない。アントワーヌは共同親権を盾にジュリアンを通じて母の連絡先を突き止めようとする。ジュリアンは母を守るために必死で父に嘘をつき続けるが、アントワーヌの不満は溜まり続け、ある日ついに爆発する。

最悪の採決をしてしまった、
「共同親権」の恐ろしさ。

冒頭共同親権を争うシーン。
日本でもフランスでも変わらない。
いや、世界中で変わらないのだろう。
収入の過多が俎上に乗る。
父親は訴える。
「息子には父親が必要だ」
けれど息子の供述が読み上げられる。
「あの男が来るとコワイ。 
 あの男が母親を殴る。」

しかし次のシーンに映るのは、
息子を迎えに来た父親のならすクラクション。

なぜ人間というのは、
失うとなると執着心が強まるのだろう。
自分が投げ出したオモチャを、
他の子どもが遊び始めると欲しくなる。
いらないと思っていたのに、
いざ捨てるとなると、
誰かにもらわれるとなると惜しくなる。
そこに愛情などないのに。
愛情があると錯覚しているだけなのに。
そこにあるのは愛情ではなく、
ただの執着心なのに。

ある意味、
この映画では男がバカで、
衝動的に凶行を止められなくなり、
おそらくはこの先そのことが幸いとなる。
でもそこまでの時間、
妻や子供たちは恐怖の時間を過ごす。
あの男が呼ぶ「ジュリアン」という名前、
母親が呼ぶ「ジュリアン」という名前、
その意味はおそらく全く違う意味だと思った。
あの男にとって「ジュリアン」は妻を繋ぎ止める道具、
妻の今を知るための情報員、
息子として呼んでいる様子も可愛がっている様子もない。

そう、この男はバカで良かった。
でももっと陰湿で狡猾な男もいる。
もちろん男女逆のパターンもある。
狡猾に証拠を残さないように、
相手を追い詰めていくことだってできる。
暴力を用いなくても相手にダメージを与えることはできる。
その方が悪質だしダメージも大きい。
そうして相手が弱ったところで頽れるところを待ち構える。

日本も共同親権を採択した。
これによってこの映画のように、
子どもと接見することで、
現在の住所や職場などがばれることもある。
円満に別れた二人ならともかく、
様々な事情で知られてはならない情報を抱えることが多い。
だからこそ共同親権を簡単に許すことは危険。



宗主国がそうだからと言って、
この国までもが、
なぜ100年前に帰ろうとするのか?
確実にこの国は、
明治の法律と権力を目指している。
やがて結婚した女は無能力者となるのだ。
そう思いながら毎日「虎に翼」を見て、
「はて?」と首をかしげながら、
はらわたが煮えくり返る思いを抱えている。

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「荒野の用心棒」 [ムービープラス]




荒野の用心棒 完全版 製作50周年Blu-rayコレクターズ・エディション

荒野の用心棒 完全版 製作50周年Blu-rayコレクターズ・エディション

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2014/10/22
  • メディア: Blu-ray



セルジオ・レオーネが、
黒澤明の許可など一切なく「用心棒」をリメイク。
多くの主演俳優役に断られた挙げ句、
クリント・イーストウッドに回ってきたとき、
彼はシナリオを読み始めて程なく、
これが「用心棒」のリメイクであることに気付いたという。
黒澤明の「用心棒」をイーストウッドがその時に知っていたのも驚き。
そしてこの映画が大ヒットしたが故に、
黒澤の知るところとなり、
結果的に公開の権利を持った。
だからこその「荒野の用心棒」という邦題なのだろう。

元のシナリオがしっかりしている上に、
とんでもない思い切りの良さ、
黒澤にはない撮影の仕方や特徴、
そこにモリコーネの音楽。
そりゃまぁヒットしない方が不思議だ。

で、最後にこれを観て思った。
「賞金稼ぎに飽きたのか、
 それとも賞金稼ぎより割が良かったのか、 
 名前を変えて用心棒になるというのもあり。」
なるほど、これで逆三部作の構成に納得。
わずかだがイーストウッドが若いし、
ちょっと硬い雰囲気なのはご愛敬。
ヒッコリーのシャツに家側のベストにポンチョ。
最終形がそこにあった。

果たしてセルジオ・レオーネがそこを意識したのか、
それは全くわからないのだけど、
まぁ彼ならそのくらいのことは考えるだろう。
しかし後年この作品をモリコーネと二人で観て、
「ひどいものだ」と二人で笑い合ったというのだから、
それなりに手をかけ時間をかけていたが、
後年の彼らの価値観からは「ひどいもの」だったのだろう。
まぁ存外この手の映画は娯楽映画であり、
いろいろと小難しいことを言う評論家には評価されないし、
所詮安価な予算で粗製乱造したと言った方が良い、
スパゲッティ・ウェスタンの一つなのだから、
彼らの仕事にとってはその程度の認識なのかも知れない。

逆に言えば、
難しいことなど考えず、
ただ面白いものを撮りたくて、
ただ安く音楽を作らなきゃならなくて、
いろいろ工夫した結果が結実することもある。
その精神が開拓する時代もあると言うことだ。

そういう意味では天晴れ。
同級生コンビに万歳。

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「優作について私が知っている二、三の事柄」 [WOWOW]




●優作について私が知っている二、三の事柄
【解説】
CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOWの開催から29年。あれから長い年月が過ぎたが、松田優作の人気はいまだ衰えず、傑出した俳優として、今や伝説の域に達している。しかし、伝説化されるにつれ、彼の実像はおぼろになってゆく。
そこで、本ドキュメンタリーでは、水谷豊、桃井かおりをはじめ、CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOWを表で、陰で支えた者たちに新規にインタビューを敢行。松田優作の盟友・崔洋一の導きによって、生の言葉がつむぎ出され、素顔の松田の膨大な証言が寄せられた。けれど、インタビューを重ねるほどに、松田優作は一筋縄ではいかない様々な「顔」を見せ始める。いったい彼は「狂気をはらんだ男」なのか「求道者」なのか「一緒にいる時はいつも笑っていた人」なのか……
松田優作のスチール写真や、松田本人の歌唱も多数収録! 松田優作という存在自体に鋭く迫る、渾身のドキュメンタリー、堂々完成!
【出演者】
水谷豊 桃井かおり 原田喧太 高垣健 渡邉俊夫 奈良敏博 崔洋一(インタビュアー)

ファンなら誰でも持っているのかもしれないが、
熱狂的なファンではなかったし、
その凄さはわかっていても、
なかなか近寄りがたいというか、
その張り詰めたような存在そのものが怖かった。
今回生誕75周年ということで、
WOWOWで特集放送があって、
この1本にたどり着いた。
で、実はちょっとマイルド風味の、
息子松田龍平は大好きな俳優だったりする。

とにかく水谷豊さんの話が刺さった。
二人にしかわからない、
理解し得ない世界。
そんな関係が伝わってきて震えた。
残念ながらこのインタビューの時には、
原田芳雄さんは故人だったが、
息子さんが微に入り細に入り、
覚えていることを語ってくれる。
そして彼らを繋ぐ存在として、
桃井かおりさんがまた微妙な空気やココロモチを語る。
そのオトナの関係が心地良くて、
ちょっと子どもっぽい男どもを見守る、
桃井さんの視線の優しさを感じられてとても良い気分。

そんな素顔を語られると、
少し松田優作に距離が縮まった気がした。

私はまさしく世代がどんぴしゃり。
デビューから早逝するまで、
同時代を生きたし観てきた。
彼が自分の命よりも、
オーディションで得た「ブラック・レイン」への出演を優先したこと、
そのことも充分知っていた。
だから冒頭で桃井さんが、
「優作が死んだって言ったら自殺だと思うじゃない?」
頷きながらもそうでない現実も知っている。

ただその佇まいを単純に好きと言えれば、
その方がどれだけ楽か。
歌詞の話などを聞いていて、
彼のバックグラウンドを考えると、
ちょっと複雑な思いも抱いたりもする。

そうやって少しずつ、
ステンドグラスやパッチワークのように、
松田優作の顔の一部をつなぎ合わせる。

生誕75周年にして、
私がやってみたいことになった。

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