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「実録 マリウポリの20日間」 [NHK-BS1]



第96回アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞受賞
4月26日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか 全国緊急公開決定!
2022年2月、ロシアがウクライナ東部マリウポリへ侵攻開始。
戦火に晒された人々の惨状をAP通信取材班が命がけで撮影を敢行し、
決死の脱出劇の末、世界へと発信された奇跡の記録映像

こうした戦場のドキュメンタリーにはつきものだが、
こんなことが起こらなければ、
いくらすぐれたドキュメンタリーであっても、
この映画は成立しなかったし、
作られることもなかったのだ。
本来こんなドキュメンタリーが作られることは、
人類として恥ずかしいことなのである。

アカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞を受けて、
NHK-BS1が再放送をしてくれた。
前後編に別れて、
ナレーションは吹き替えられているが、
それでも電波で観られることの価値は絶大である。
BSの世界のドキュメンタリーを見続けるのは、
こういう良質のドキュメンタリーを提供してくれるから。
何度でも言うが、
NHK受信料は、
彼らが作るか買うかに関わらず、
ドキュメンタリーの放送を観るだけで充分ペイすると思っている。

余りにも酷い。
確かに報道では知っていた。
医療機関、それも産科専門病院を狙い撃ちする。
臨月の妊産婦と胎児が死んでいく。
それはもう無残で観ていられない。
ロシアの戦車に刻まれた「Z」の文字。
これが現れる前は未来への希望に満ちあふれていたであろう、
妊産婦と家族たち死んでいくのだ。
助かってもうちひしがれて絶望の表情が写る。
その病院から別の総合病院に患者が運ばれるが、
彼らは外科的な負傷を負っていて、
その上で分娩に臨む。
病院側は産科がないから大変だ。

希望から絶望にたたき落とす攻撃。

なんという残酷で闘志を挫く攻撃。
 
これがゲームなら見事と言うしかない。
マリウポリの町が日々閑散として、
日々破壊されていく様は映画のよう作り物にさえ見える。
でもこれは現実だ。
最終的にマリウポリは廃墟となるのだが、
その様子を如実に映し出すカメラの残酷さ。
けれどマリウポリの市民も兵士も臨んだ。
「この映像を世界に公開してくれ。 
 これがロシアのやり方だということを伝えてくれ」
その声に押されて助けられて、
APの取材班は何とかマリウポリからの脱出に成功する。

この映像が公開されても、
ロシアは「フェイク映像だ。ウクライナの過激派がやっている」
そう言い張って譲らない。

APと言う通信社がフェイクを公開するはずもなく、
ロシアの言い分を誰も信じることはないだろう。
それでもプーチンも即金も譲らない。
そして「これは正義の戦争だ」と言い張る。



ウクライナとロシアの関係は根深い。
ロシアの支配下でウクライナがどんな陰惨な目に遭ってきたか。
ほんの一部しか知らないのかもしれないが、
だからこそウクライナは降伏しないのだと思っている。
彼らはロシアに組み入れられたら、
ほぼナワリヌイと同じ運命が待っていると思って良いだろう。
市民もどんな仕打ちが待ち受けているか。



でもウクライナ侵攻から2年以上経って、
日本人の関心もかなり薄れているだろう。
今はガザの方が関心が高いのかもしれない。
でもどちらも現在進行形だ。
あれもこれもそれも、
関心が薄くなっても現在進行形。
AP通信社は20日間だったけれど、
あの町陥落するまで兵士は粘り続けた。
これは作り物ではない。
フェイクでもない。
だから私たちは観ておく必要がある。
現実の戦争の痛みと哀しみを知っておく必要がある。
「戦争ができる国にする」
そういう時代だからこそ本当の戦争を観るべきだ。
「戦争をできない国」は恥ずかしくも何ともない。
戦争なんてしないにこしたことはない。
生身の人間が傷ついて血を流し、
その命の炎が消える瞬間を、
ボディバッグを埋めていく作業のつらさ苦しさ、
そういう現実を思い知るべきだ。

明日は我が身なのだから。 

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