SSブログ

「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」 [WOWOW]




探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/10/04
  • メディア: Prime Video


新宿ゴールデン街、三番街にある小さなバー「カールモール」のカウンターに立つ女マリコ(伊藤沙莉)。日々バーテンとして常連の相手をしているが、実はもう一つの顔を持っていた。それは探偵稼業だ。ある日、とある組織から「歌舞伎町に紛れ込んだ宇宙人を探してくれ」という依頼をうけ、恋人の自称忍者MASAYA(竹野内豊)の協力のもと、宇宙人に迫ってゆくのだが……

オムニバス形式なので、
なんとなくずっと見てしまう。
と言うか、
そうやって引っ張る力が伊藤沙莉にはある。
そしてそのエピソードに登場する役者もすごい。
宮藤さん式に言えば、
「北村有起哉の出ている映画は良い映画だ」。

ただねぇ。
もはやこんなトンデモ映画とは思っていなかった。
本筋はハードボイルドなんだけど、
いきなり宇宙人の捜索から始まる。
恋人は自称忍者、道場も開いているけれど、
国民健康保険も国民年金も払っちゃいない。
「ミッドナイトスワン」の内田監督、
「さがす」の片山監督なので期待したが、
なんとなくコメディセンスが空回り。
本筋のハードボイルドはさすがだなぁと思うし、
マリコの設定も良かった。

で、話が切り替わる度に、
「生涯で一番悲惨な日」っていつなんだろう?と思うけど、
それはラストまでのお楽しみ。
いや、マジでこんな悲惨な日はない。
可哀相と言うよりは、
「よくやった!」なんだけど、
それでもなんだかスッキリしないのは、
最後の最後のユーモアに全く共感できないから。

売れっ子なのはわかるけど、
伊藤沙莉も仕事は選んだ方が良いなぁ。

監督がいいから俳優も集まる。
だけど出来上がったものは最高とは限らない。
好きな役者と好きな監督だからと言って、
期待しすぎてはいけない。

コメント(0) 

「嘘八百 なにわ夢の陣」 [WOWOW]




嘘八百 なにわ夢の陣 [Blu-ray]

嘘八百 なにわ夢の陣 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2023/07/20
  • メディア: Blu-ray


【ストーリー】 
これまで千利休、古田織部の茶器をめぐって大騒動。目利き古美術商と腕の立つ陶芸家のはずが、相も変わらずくすぶり続ける≪骨董コンビ≫の目の前に一攫千金のお宝が現れた。日本一の出世頭・太閤秀吉の縁起モノ「秀吉七品」の中でも、唯一所在不明の「光輝くうつわ〈鳳凰〉」だ。「幻のお宝」を狙って、開催間近の大坂秀吉博をはじめ“TAIKOH”と名のるカリスマ波動アーティストやその財団を仕切る謎の美女が絡み、歴史・骨董・アートのロマンと強欲が激突。大阪城を背景に繰り広げられる天下の≪騙し合い≫に≪骨董コンビ≫とその陣営はどう挑むのか、見事大金をつかむことはできるのか――。

実に罪のない映画である。
前二作もその軽妙さがお気に入り。
じゃ、なんで劇場で観ないか。
どうせ1年もしないうちにWOWOWで放送されるから。
どうしてもスクリーンで観るほどの画力はないから。
シビアだけどそういうこと。

今回も太閤秀吉のお宝、と言うことで、
如何にもなにわらしいお宝騒動。
木下ほうかがいなくなったりして、
どうなったのかと思えば、
何事もなかったかのように俳優は変更。

終わりよければすべてよし。
その精神で最後は巧く行くし、
誰も不幸にならない安定のシリーズなので、
お気楽に見ていられるし、
何しろ中井貴一と佐々木蔵之介の安定の演技力が良い。
恋女房友近も抜群。
かなり豪華な2時間ドラマなのだが、
それ以上の仕掛もあるから、
それ以上に楽しめるし役者も揃っている。

今回も楽しくて微笑ましくてよござんした。

コメント(0) 

舞台 「パラサイト」 [WOWOW]

textimg2.jpg

はい、おわかりの通り、
ポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」がベース。
というか、設定は日本に変更しているけれど、
基本的なところは変わらないまま。
何より出演者の顔ぶれ。
古田新太、江口のりこ、伊藤沙莉、宮沢氷魚。
元のストーリーは折り紙付きに加え、
このメンツの舞台となったら観るしかない。
と言ってもWOWOWの放送なんだけど。

いきなり関西弁。
お父ちゃんは家で靴を縫っている靴職人。
「ああ、長田地区なんだな。
 ああ、○○○○○という裏設定なんだな」
と言うことは、
高台の家は芦屋のお屋敷。
まぁ関西に舞台を設定したらエグイエグイ。
何しろ何の意識もなく天然で金持ち、
逆に金持ちの嫌らしさがなかった家族が、
いきなり不動産の成金家族のようにイヤらしい。
そうなると天然で差別していたことが台無し。
古田新太はいつも通りの板についた演技で、
相変わらずの安定感。
だけどソン・ガンホのしみったれているけど、
どこかシュッとして格好良さがにじみ出るところはない。
まぁそれは持ち味。
兄と妹という設定になっているため、
主導権を握るのは宮沢氷魚。
あのクールで肝が据わった格好良かったパク・ソダム、
伊藤沙莉では少々可愛すぎた。
あと宮沢氷魚がそれほど頭が切れる風に見えない。
そこが致命的。
ただし。
江口のりこの肝っ玉かあさんぶりがすごい。
全く体格も違うし雰囲気も違うのに、
より一層の落ち着きと図太さで一家の真ん中にいる。

ケチをつけてもしょうがないし、
そもそも日本の設定にしたところで、
半地下の家なんてないんだから、
そりゃ長田地区と芦屋は格好の場所。
そしてそこにやってくる阪神淡路大震災。
水害を大震災に置き換える。
水が上から下へ流れるという意味、
これが台無しなんだな。
もっとも舞台じゃ難しいだろうけど。

と言うことで、
そこそこ面白いです。
キムラ緑子とか他にも芸達者が多いし。
ものすごく贅沢な配役の舞台。
ただやっぱり翻案っていうのは難しい。
「リスペクトーーー!」もなかったし。
まぁヤミ金からの借金で身を隠しているからしょうがない。
深読みのしすぎなんだろうけど、
芦屋のお屋敷と長田地区の靴職人、
そりゃ接点ないよね。
なんで長田地区があんなに酷い火災になったのか、
そもそもどういう成り立ちの町なのか、
いろいろ考えれば考えるほど、
あの一家が暢気にパラサイトできる方がおかしいと思える。

微妙な設定って難しい。
多分そこを読んで嫌な気分になる人もいるだろうな。
あ、あと主人公一家の名字。
そこにも含みがあるよね。

コメント(0) 

「対峙」 [WOWOW]



STORY
アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が勃発。多くの同級生が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。それから6年、いまだ息子の死を受け入れられないペリー夫妻は、事件の背景にどういう真実があったのか、何か予兆があったのではないかという思いを募らせていた。夫妻は、セラピストの勧めで、加害者の両親と会って話をする機会を得る。場所は教会の奥の小さな個室、立会人は無し。「お元気ですか?」と、古い知り合い同士のような挨拶をぎこちなく交わす4人。そして遂に、ペリー夫人の「息子さんについて何もかも話してください」という言葉を合図に、誰も結末が予測できない対話が幕を開ける──。

明日のことは誰にもわからない。
銃乱射はともかくとして、
もしかしたら明日自動車事故で加害者になるかもしれない。
被害者として死ぬかもしれない。 
人は常に様々な立場になることがあり、
その立場が逆転することもある。

哀しいのは、
このどちらの夫婦も息子の死を乗り越えられず、
夫婦として家族として機能不全になっている。
加害者の両親はそのことで充分に苦しんだ。
現在進行形で世間から責められて、
息子についての理解も被害者への陳謝も、
何処かで言い訳めいている。
被害者の両親は相手の苦しみも頭では理解できる。
だけど理不尽に殺された我が子と、
手にかけた相手とその両親へのぶつけようのない怒り、
その不完全燃焼な怒りの炎が燻っている。
「それ」は突然にやってきたのか?
それとも兆候があったのか?
それならなぜあの時であの場所で起きたのか?

どちらの両親も答えは持っていない。
そんなことは6年の間に考え尽くしている。
どちらもそれに対して納得などできていない。
残された家族の現在についても、
お互いに表面を滑るような言葉の応酬。
そしてお互いの納得がいかない部分が噴出して、
彼らは本音をさらけ出していく・・・。

100%の会話劇なので、
この会話部分を語ってしまってはネタバレ。
それはぜひ自分の耳と目で確認してもらうとして。

こうした機能不全家族は多いと思う。
身の上相談などを聴いていても、
家族が全く腹を割っていない、
腫れ物に触るように暮らしている、
そんな風景が浮かぶような言葉も多い。
「親子とは血の繋がった他人」
田口ランディさんのこの言葉で私は悟ったが、
「家族だからわかり合えず」という幻想を未だ持つ人も多い。
なぜ家族内の話を持ち出すかと言えば、
ここで対峙する2組の夫婦もまた、
「家族だから」という前提でものを考えてきたが、
けっきょく「家族だから」こそ、
肝心の部分に触れあうことを避けて、
表面的な平和と平穏を装っていたのだ。
真逆の立場にいながら、
同じように機能不全家族だった。
そのことが意外な作用をもたらす。

地味な映画だし、
正直言ってなんの説明もされないので、
探り探りの台詞の応酬と、
それから推理していくのはかなりつらい。
加害者側は何も言い訳できる状況ではない、
だからこそ理論武装をしていたり、
或いは感情に訴えようとする。
被害者側は理不尽に巻き込まれて、
整理のつけようがない感情をどう表現するのか、
或いは加害者のことを知ってどうしたいのか、
それすらかみ砕くことができていない。
そんな密室での会話劇、
覚悟の上で観たらきっと満足する。
これがベストなのかはわからないが、
ある意味での昇華体験や、
心がスッキリとする思いがちょっと味わえる。

妙な言い方だけど、
ちょっとした心の栄養になる。

コメント(0) 

「優作について私が知っている二、三の事柄」 [WOWOW]




●優作について私が知っている二、三の事柄
【解説】
CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOWの開催から29年。あれから長い年月が過ぎたが、松田優作の人気はいまだ衰えず、傑出した俳優として、今や伝説の域に達している。しかし、伝説化されるにつれ、彼の実像はおぼろになってゆく。
そこで、本ドキュメンタリーでは、水谷豊、桃井かおりをはじめ、CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOWを表で、陰で支えた者たちに新規にインタビューを敢行。松田優作の盟友・崔洋一の導きによって、生の言葉がつむぎ出され、素顔の松田の膨大な証言が寄せられた。けれど、インタビューを重ねるほどに、松田優作は一筋縄ではいかない様々な「顔」を見せ始める。いったい彼は「狂気をはらんだ男」なのか「求道者」なのか「一緒にいる時はいつも笑っていた人」なのか……
松田優作のスチール写真や、松田本人の歌唱も多数収録! 松田優作という存在自体に鋭く迫る、渾身のドキュメンタリー、堂々完成!
【出演者】
水谷豊 桃井かおり 原田喧太 高垣健 渡邉俊夫 奈良敏博 崔洋一(インタビュアー)

ファンなら誰でも持っているのかもしれないが、
熱狂的なファンではなかったし、
その凄さはわかっていても、
なかなか近寄りがたいというか、
その張り詰めたような存在そのものが怖かった。
今回生誕75周年ということで、
WOWOWで特集放送があって、
この1本にたどり着いた。
で、実はちょっとマイルド風味の、
息子松田龍平は大好きな俳優だったりする。

とにかく水谷豊さんの話が刺さった。
二人にしかわからない、
理解し得ない世界。
そんな関係が伝わってきて震えた。
残念ながらこのインタビューの時には、
原田芳雄さんは故人だったが、
息子さんが微に入り細に入り、
覚えていることを語ってくれる。
そして彼らを繋ぐ存在として、
桃井かおりさんがまた微妙な空気やココロモチを語る。
そのオトナの関係が心地良くて、
ちょっと子どもっぽい男どもを見守る、
桃井さんの視線の優しさを感じられてとても良い気分。

そんな素顔を語られると、
少し松田優作に距離が縮まった気がした。

私はまさしく世代がどんぴしゃり。
デビューから早逝するまで、
同時代を生きたし観てきた。
彼が自分の命よりも、
オーディションで得た「ブラック・レイン」への出演を優先したこと、
そのことも充分知っていた。
だから冒頭で桃井さんが、
「優作が死んだって言ったら自殺だと思うじゃない?」
頷きながらもそうでない現実も知っている。

ただその佇まいを単純に好きと言えれば、
その方がどれだけ楽か。
歌詞の話などを聞いていて、
彼のバックグラウンドを考えると、
ちょっと複雑な思いも抱いたりもする。

そうやって少しずつ、
ステンドグラスやパッチワークのように、
松田優作の顔の一部をつなぎ合わせる。

生誕75周年にして、
私がやってみたいことになった。

コメント(0) 

「幸せの1ページ」 [WOWOW]



対人恐怖症の人気冒険小説家、アレクサンドラ(ジョディ・フォスター)は何年も自宅に引きこもって暮らしていた。彼女は新しい小説のネタをネット検索していて、孤島で暮らす海洋生物学者(ジェラルド・バトラー)の記事に目をとめる。彼に協力を求めるつもりが、ある日彼の娘のニム(アビゲイル・ブレスリン)からSOSのメールが届き……。

先日中古DVDをあさっているときに、
何かジョディ・フォスターで知らない作品はないか、
検索したときに発見。
レンタル落ちを購入したのだが、
その後WOWOWオンデマンドにあるのを発見した。
それにしても全然知らない映画だし、
どんなものかと思ったけれど、
やっぱりジョディ・フォスターが作品を選ぶ眼は間違いない。

シリアスな作品が多い彼女だけど、
本作ではコメディエンヌぶりを遺憾なく発揮、
最近ではアメリカを救う男として有名な、
ジェラルド・バトラーは意外に知的かつ逞しい学者を演じ、
これがまたなかなかの好演。
そして「リトル・ミス・サンシャイン」で有名なアビゲイル・ブレスリンは、
いつもながらの芸達者ぶりで可愛くて健気。
そして何よりこれはとてもステキなファンタジーで、
親子が暮らす島も美しくて、
動物たちはニムと意思疎通できて、
それはそれは夢のような最高の映像。


幸せの1ページ / スペシャル・エディション [Blu-ray]

幸せの1ページ / スペシャル・エディション [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2009/02/13
  • メディア: Blu-ray



メディアはこんな状態なので、
配信を探せば各所で有料だけど観られる。
何よりラストからエンドロールで流れる、
U2の「Beautiful Day」を訊くともう幸せが最高潮に達する。
邦題は最低最悪だと思うが、
それに騙されずに是非一度。

本当にステキなファンタジーで、
最高の気分になれるから。

コメント(0) 

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」 [WOWOW]



なんでこんな名作と言われる映画を、
今更このタイミングでと思われるだろうけど、
なにせ余りに絶望的という評判しか聴かなくて、
とても観る勇気が持てなかった。

ラース・フォン・トリアーの特集が各地であって、
「そろそろ覚悟を決めて見るか」と。
それでも事件が起こるところまで観たら、
もう苦しくて苦しくて中断。
たまたまWOWOWをつけたら、
ちょうどそのあたりから少し前を、
リアルタイムで放送していたので最後まで観てしまった。

ほんとうにもう、
最後までそこまで行くのは悪趣味。
そうとしか言えないというか、
なんでそこまでしなきゃならないのか。
死刑になるまでをつぶさに映しだし、
まともに歩けないまともに立てない、
平静を装えるわけもない彼女を、
なぜあんなにも追い詰めるのか。
「いやなもの観ちゃったな」と思うのと同時に、
その愛情の深さと彼女が見せてくれたもの。
その思いを不各区考えざるを得ない。

爽快感全くなし。
昔々「キングダム」も観たけれど、
訳わからんし気持ち悪いし気分悪いし。

いろいろ考えさせられるけど、
やっぱりもう二度と見なくて良い。
余りにも辛すぎてこっちが追い詰められる。

コメント(0) 

「ソフト/クワイエット」 [WOWOW]



とある郊外の閑静な町。幼稚園に勤めるエミリーは、「アーリア人団結をめざす娘たち」という白人至上主義のグループを結成する。教会での会合に集まったのは、主催者のエミリーを含む6人の女性。多文化主義や多様性が重んじられる現代の風潮に反感を抱き、有色人種や移民を毛嫌いする6人は、日頃の不満や過激な思想を共有して大いに盛り上がる。やがてエミリーの自宅で二次会を行うことにするが、途中立ち寄った食料品店でアジア系の姉妹との激しい口論が勃発。それは取り返しのつかない残虐でおぞましい犯罪の始まりだった。


ソフト/クワイエット

ソフト/クワイエット

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/09/01
  • メディア: Prime Video



本家「大渋滞」で宮藤さんが見て、
とんでもない映画だと言うことを仰っていて、
即刻探したらWOWOWオンデマンドで観られたので観たけど、
今までの映画史上最低で最悪でもっとも胸くそ悪い映画。
始まりの集会からしてもう最悪なのに、
そのレイシズムがちょっとした悪戯心から、
とんでもない事態になっていく。

やっぱり子どもという守るものがある人、
つまり母親は割合現実に立ち返るのも早いし、
比較的まともなんだけど、
現場の雰囲気とその他のろくでなしに引きずられる。
誰か一人が口火を切ったレイシズムは、
それぞれが普段不満に思っていることに着火して、
もうどうやっても止められない炎となり、
やがてそれは不法な放火になり、
挙げ句の果てにやっていることは、
そこら辺の飲食店でガキがやっている、
バカッターな行動と何も変わらず、
誰も望まない酷いことになる。

でもこいつら反省しないよね。
レイシズム、差別、虐待が悪いなんて絶対に思わない。
「あいつらがこの国にやってきた。 
 あいつらがあたしらの職場を奪った.
 あいつらがあたしたちが快適に暮らす権利を奪っている。」
いや、こんなの今の日本人だって同じだよ。
ヘイトで外国人を罵る言葉は民族を攻撃しているし、
ナチスだってイスラエルだって、
「民族浄化」をしようとしている。

そのきっかけはこんな些細なことなんだな。

そう思ったことが一番怖かった。

コメント(0) 

「ディア・ピョンヤン」 [WOWOW]



2006年公開/日本・韓国/作品時間107分
人生のすべてを《祖国・北朝鮮》に捧げる両親のもとで育ったヤン・ヨンヒ監督が、10年にわたって両親と、平壌で暮らす兄たちの姿を記録し続けた家族ドキュメンタリー。

ヤン・ヨンヒ監督のドキュメンタリーは、
いつ観てもやるせなくて切ない気持ちにさせられる。
この作品でも心が引き裂かれるような、
何ともいえないつらさに襲われた。

在日の中でも朝鮮籍を選んだ両親。
そして帰国事業で3人の息子を北朝鮮に送り出す。
そのこと自体は本国から評価され、
総連の幹部として父親に大きな誇りをもたらす。
そしてそれを機に母も総連の仕事に精を出す。
一方のヤン・ヨンヒ監督は、
特に何の疑問も持たずに朝鮮学校に行き、
優秀だったので北朝鮮を訪問することも出来、
兄たちと再会することもできた。
しかしやがて自分の道を歩み始めると同時に、
朝鮮籍であることが大きな足かせになる。
正式に国交のない国には行かれない。
何より韓国に行くことができないのだ。
だから自分は韓国籍にしたいと言い出したときに、
最初父親は絶対に許さないと言った。
彼女が映像の仕事をする上に置いて、
渡航できる国が限られるのは大きな足かせになる。
それでも最初に言い出したときは家族は一緒であるべきとした。

年月が経って、
ご機嫌に酔っ払った父親を撮影しながら、
ヤン・ヨンヒ監督が国籍変更の問題を問いかけると、
「変えても良いよ」という。
強硬に反対した以前とうって変わって、
柔和な表情で「すれば良い」という。
時代も流れて娘の仕事にもそれが大きく影響すること、
だから変えてもかまわないというのだ。
思えばもっと早く南北統一、
国交が多くの国と結ばれると思っていたのだろう。
総連幹部として力を尽くしてきたからこそ、
3人の息子を全員帰国事業で北朝鮮に送ったからこそ、
金日成、金正日親子を崇拝していたからこそ、
今の状況がよくわかっているのだ。
ましてや「地上の楽園」に送ったはずの息子たちに、
日本から物品、カネの仕送りが欠かせない状況。
自分達から会いに行くことはできるが、
息子たちが日本に来ることはできない。

政治思想も価値観も、
親子だからと言って一致させる必要はない。
しかしイデオロギーで対立するのは哀しい。
だけど朝鮮籍と韓国籍の選択は、
イデオロギー以上に生活上の利便性が大きい。
実際問題「GO!」でも「ハワイに行きたい」と言うことで、
朝鮮籍から韓国籍に変更するシーンがある。
最初にこれを読んだときはよくわかっていなかったが、
やっとその意味がわかるようになり、
「その程度のものだ」と父親を切り捨てたのも理解できた。

戦後今年で79年。
今もまだ様々な問題燻っている。
年数が経てば経つほど、
歴史として「なかったこと」にしようとする動きが強くなり、
戦前のようなヘイト、差別が強くなる。
「在日特権」という存在しないものばかりがクローズアップされる。
私が知りうる限り「在日特権」が存在するとすれば、
他の外国人と違い、
雇用保険を取得するときに在日は在留カードの内容を登録しない。
ただそれだけのことだ。

この後の「スープとイデオロギー」にいたって、
なぜ両親が朝鮮籍にこだわったのかがわかる。
血も凍るようなその体験は、
おそらく日本では一般的に知られていないだろう。

そんな家族の肖像は、
哀しさと楽しさと悦びと怒りで、
それぞれが引き裂かれている。

コメント(0) 

「妖星ゴラス」 [WOWOW]




妖星ゴラス [東宝DVD名作セレクション]

妖星ゴラス [東宝DVD名作セレクション]

  • アーティスト: 池部良
  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2015/07/15
  • メディア: DVD




何十年か前に観た記憶はあるけれど、
中身は全然覚えていなかった。

しかしまぁ、
「全世界の原子力を結集!」 
はい、アウト!
おまけに要らん怪獣は出てくるし、
地球を軌道からずらしてよけるって言うけど、
ずらしたあと戻す方が大変だろうって、
今でも思うわ。

着想は良かったんだけど、
どうも内容的にはかなり杜撰。
本多猪四郎作品としては余り評価できない。
その一方で円谷英二はやりたい放題。

今思えば「シン・ウルトラマン」だって、
なんだかなぁな作品なんだけど、
特撮好きにはどうしようもない魅力があるし、
それはそれでしょうがないって映画もあるよね。

コメント(0) 

- 人生は四十七から -