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「アンダーグラウンド」 [映画]


アンダーグラウンド [Blu-ray]

アンダーグラウンド [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 復刻シネマライブラリー
  • 発売日: 2018/06/22
  • メディア: Blu-ray


内容紹介
昔、ある所に国があった。
20世紀を代表するエミール・クストリッツァ監督の映像叙事詩。
1941年、ドイツ軍はユーゴスラビアの各地に侵攻していった。共産党のマルコとクロは、金の密売と武器取引により大金を稼いでいた。そしてクロが恋焦がれる舞台女優のナタリアは、ナチスの将校フランツに近づき、車椅子の弟バタと共に生き延びようとしていた。
マルコは、ドイツ軍から逃れた人々を祖父の地下室へと送り、武器を製造させていた。そこに臨月のクロの妻ヴェラと、マルコの弟イヴァンも避難する。産気づいたヴェラは男の子を産み、ヨヴァンと名付けてほしいと伝え、命を落とす。
ナタリアを連れ結婚式会場の船へと向ったクロ。そこにフランツ率いるドイツ軍がやってくる。ナタリアはフランツに駆け寄り、彼女を追ったクロはドイツ軍に捕らえられてしまう。船で逃げ出したマルコは、病院に潜入する。クロは、激しい拷問を受けながらも、沈黙を貫いていた。
マルコはクロを救出し、祖父の地下室へと運び込む。そしてナタリアを誘惑し、自分のものとする。終戦を迎えたユーゴスラビアで、マルコはチトーの側近となり、順調に出世していく。
1961年。国民はクロを抵抗運動に殉じた英雄として崇拝していた。しかし、実際はマルコとナタリアが暮らす屋敷の地下で、武器を製造する一団のリーダーとして君臨していた。マルコは偽のラジオ放送を流し、まだ戦争は続いていると地下の人々に思い込ませていた。
旧ユーゴスラヴィア出身の鬼才、エミール・クストリッツァが祖国の戦後の歴史を、ユーモアと寓意、そして哀しみに満ちたブラックなファンタジーとして描き出す。

この手の映画を時折放送してくれるから、
WOWOWの契約は止められない。
製作年度に関係なく、
名作、快作を含めて。

ずっと観たかったのだが、
いかんせん廉価版のメディアもなく、
何処かで観られないか探していたら、
放送してくれたのでこれ幸いと。
ただし3時間ものとなると覚悟して観ないと。

緊急事態宣言の自粛状態は、
ある意味アンダーグラウンドの市民たちを思わせる。
戦争は終わっているのに、
アンダーグラウンドの人々は何も知らず、
武器の製造をひたすらに続けている。
アンダーグラウンドにはアンダーグラウンドの生活が成立している。
ナチスに蹂躙された土地では、
そうして暮らすことが何よりの安全だったのだろう。
そして時代が過ぎても、
外の世界を知ることとなっても、
ユーゴスラヴィアは政治と権力と戦争に翻弄される。
これは日本人には想像もつかない世界だ。
それをエミール・クストリッツァ監督は、
ユーモアたっぷりに音楽たっぷりに、
彼独特のスタイルで軽妙にかつ苦しみも哀しみも隠さず、
強欲で傲慢な人間の姿もありのままに、
じっくりと時間をかけて、
時代の変遷と共に描き出す。

元はと言えば、
大竹まことが好きな監督として知ったのだが、
細部の表現に大竹まことの美学や、
シティボーイズに通じるシュールさがある。
小劇場やシュールなコントが好きな人には、
おそらく約3時間退屈することなく楽しめると思う。
そのくらいにスゴイスケールの名作だと思う。
軽妙な音楽と深刻になりすぎない描写が、
実は重い話を軽妙洒脱に演出されて終始楽しい。

映像も美しいし、
この世界は今こそ、
抑圧された今だからこそ観ておくべきだろう。
非常に良いものを観た、
爽快な気分である。

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