「真夜中のカーボーイ」 [DVD・Blu-ray]
<ストーリー>
大都会ニューヨークで一旗揚げるべくテキサスからやって来たジョー。だが、現実は厳しくいつしか孤独感にさいなまれる中で、彼はラッツォと呼ばれる小男と出会う。肺を病み、片足が不自由なラッツォの夢は太陽が輝くマイアミに行くこと。やがて奇妙な友情で結ばれた2人は、大都会の底辺から必死で這い上がろうとするが……。
アメリカン・ニュー・シネマは大体において切ない。
そしてやるせない。
本作も例外ではなく、
夢見る男たちの孤独と現実を否応なしに描き出す。
もはや不朽の名作であり、
何一つ私が付け足すコメントなどないだろう。
ニューヨークという都会は、
テキサスからやってきたジョーには、
余りにも冷たく現実的で残酷。
最も彼が故郷を離れたトラウマには及ばないかも知れないが。
その一方でそんなニューヨークの片隅で、
ひっそりとこすからく生きているけれど、
夢は太陽の降り注ぐフロリダへ行くことであるラッツォ。
二人の孤独と寂しさと優しさが重なり合い、
あり得なかったはずの友情が生まれるが・・・。
それにしても若く溌剌としたジョン・ボイトよりも、
肺病を病んで足の悪い小男ダスティン・ホフマンの存在感の大きさ。
光と陰を演じた二人が、
陰がしっかりとあるからこそ光が輝くという、
見事な演技のお手本を見せつけてくれる。
薄汚い小男ラッツォこそ、
魂が美しく純粋で夢見ることを忘れない。
かなわないと思いながらも、
それでも必死に自分なりに生きるラッツォの姿は、
あの当時のニューヨークでは少なくなかっただろうし、
路上で凍死していく人間の象徴かも知れない。
陰を演じることの難しさと、
その陰が少しだけ輝きを放つときの光。
何ともダスティン・ホフマンは恐ろしい。
後年の名優のほまれを得てからよりも、
この頃の方が魂からの演技を感じられる。
この際古いダスティン・ホフマンの映画を見直そうか。
2020-09-01 00:41
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