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「韓国ノワール その激情と成熟」 [本]


韓国ノワール その激情と成熟 (ele-king books)

韓国ノワール その激情と成熟 (ele-king books)

  • 作者: 西森 路代
  • 出版社/メーカー: Pヴァイン
  • 発売日: 2023/06/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


容赦なき暴力と社会への批判的な視点――韓国ノワールの熱い世界!
いまや世界で評価される韓国映画、そのなかでも大きな一角を締めているのが「韓国ノワール」とよばれる犯罪映画の一群です。
「香港ノワール」のリメイクに挑戦したり、韓流スターが出演するなど独自に展開してきた韓国ノワールは、韓国映画の特徴である「容赦のない暴力描写」と「社会に対する批判的な視点」により年々クォリティを上げ、『新しき世界』でひとつの到達点に達したと言ってもいいでしょう。

題名だけで飛びついて予約してしまった。
なので届いた瞬間、
「薄っ!」と声に出してしまった。
韓国ノワールを語るのに、
200ページ程度の本で足りるのか?
私が韓国ノワールを含めて韓国映画を見始めたのが、
ここ数年のことなのだが、
それだけでも足りないだろうと思えた。

読んで納得。
扱われている作品はメジャーどころ、
それこそ私でも知っているし観たことがある。
配信やレンタルで観られる作品を敢えて選んだのだろうか。
どれも王道過ぎて余り大きな発見はない。
どれも面白いし何度でも楽しめる映画だけど、
新発見には少々乏しかった。
だが逆に言えば、
これから韓国ノワールに足を突っ込む人にとっては、
最高の入門書とも言える。
この本に載っている映画を観れば、
韓国ノワールの奥深さと、
観れば観るほどはまっていく理由がわかるはず。

個人的に残念なのは、
「アシュラ」が載っていないこと。
あれほどまでにひどい、
最後まで誰も救われない映画もないが、
それこそが韓国ノワールの真骨頂というものだ。
フルチンで飯を食べ、
フルチンで人を小突き回すファン・ジョンミン、
あんな最低の人格が出てくるんだから最高なのだ。
逆に嬉しかったのは「青い塩」が載っていること。
この不思議なラブストーリーをノワールと呼ぶかは微妙だが、
意外かもしれないが、
あの映画のソン・ガンホが私は大好きだ。
ちなみに本作はアマプラで無料なのでオススメ。

こういう本は難しいなと思う。
変にファンに向けたマニアックな物になると部数が伸びない。
かと言って入門者向けだと、
通り一遍をさらうくらいしかできない。
本書はちょうどその中間点にあるようで、
作品を掘り下げているのだが、
扱う作品がメジャーどころでわかりやすい。
その掘り下げ方が何ともいえない部分でもあり。



こういう本を読むと、
町山さんの映画の掘り下げ方と、
時事的政治的な意味合いの説明は、
本当に群を抜いているんだなぁと改めて実感。


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