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「世界金玉考」 [電子書籍]


世界金玉考

世界金玉考

  • 作者: 西川清史
  • 出版社/メーカー: 左右社*
  • 発売日: 2022/11/29
  • メディア: Kindle版


なぜぶら下がっているのか?
なぜたぬきのキンタマは大きいのか?
そもそもなぜ“キンタマ”と呼ばれているのか? etc.
その誕生の瞬間から、世界各国のキンタマスラング、勝海舟や西郷隆盛など偉人たちのキンタマ逸話、尾崎士郎や正岡子規など文豪によるキンタマ文学、ミケランジェロのダビデ像にいたるまで、∞(無限)に広がるキンタマの世界に迫る。追えば追うほど謎は深まり、好奇心に気持ちはぶらぶら……黄金の秘宝を求める冒険家のごとくキンタマに挑んだ著者渾身の一冊。
読んだ後では世界の見え方がぐるりと変わる、史上初のキンタマ読本!

きっかけはラジオ。
「大竹まことのゴールデンラジオ」のゲストに著者がやってきた。
この著者がとにかくプレゼン上手なのだ。
饒舌とは違うのだが、
とにかく本の内容の面白い部分を実に効果的に話す。
私は胎児のときにいかにして男性器が作られるのか、
その過程を聴いただけで夢中になってしまった。

「生物の原型は全部女性。 
 そこから男性は男性ホルモンによって変化していく。
 無理を重ねているので男性は女性より寿命が短い」

何とも愉快な話じゃないか。
男性の肋骨から作られたといわれていた女性だが、
生物学的には生命の始まりは全部女性なのだ。
金玉の存在はさておいてそのことが愉快だった。
そして「こういうことを本にする人だから読みたい」と思った。

結論。
とにかく面白い。
自著ながら終始ぼやきながらの取材と執筆。
そりゃそうだ。
男性が「女体の神秘」を解明して執筆するならともかく、
自分にもついている男性器の一部、
そのものとずっとずっと相対することが要求されるのだ。
ぼやきたくもなるであろうというものだ。
そしてそれを隠さないのが最高によろしい。

様々な側面が金玉にスポットライトを当てるのだが、
意外なことに解明されていないことも非常に多いのだ。
「神秘の人体、金玉」である。
何しろ金玉を持つ動物とそうでない動物がいる。
すなわち精巣が体内にある動物が存在する。
すると「ラジエーター」の役割と言われる意味がわからなくなる。
こればかりは専門家の研究を待つしかないが、
果たして解明される日が来るのかはわからない。
更にラジオでも紹介されていたが、
正岡子規の俳句が何とも切ない。
結核による脊椎カリエスで死を待つのみの身の上で、
無聊を慰めるかのようにおのれの陰嚢を詠む。
文学における金玉の存在は、
人間とともにあるからこそ面白いものだ。
それは芸術においても変わらない。
なんだか知らないが、
とにかく巨大な金玉がどんどん登場してくる。
はて、竿がでかいならまだしも、
金玉がでかいのはじまんになるのか?
それともただの物笑いの種なのか?

かようにして様々な側面から金玉を研究する本作、
文体の読みやすさもあって、
あっという間に読めてしまう。
そして残るは金玉に関する知識というか雑学というか。
いや、こんなにつらい世の中だからこそ、
こういう本を読むことも大事なのだと思えてくる。
扱っている題材が題材だからいろいろ邪推するかもしれないが、
本作に限ってエロいところは全くと言ってないと断言する。
エロいと思う間もなく楽しくて楽しくて、
どんどん読み進めてしまうのだから困った困ったw。

今読んでいる本を中断してまで読んでしまった。
最近読んだ中ではクリーンヒットな一冊である。

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