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「アメリカン・フィクション」 [Amazon Prime Video]




アメリカン・フィクション

アメリカン・フィクション

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2024/02/27
  • メディア: Prime Video


侮辱的な表現に頼る“黒人のエンタメ”から利益を得ている世間の風潮にうんざりし、不満を覚えていた小説家が、自分で奇抜な“黒人の本”を書いたことで、自身が軽蔑している偽善の核心に迫ることになる。

アカデミー賞授賞式前には見ておこうと。
公開されていない作品や、
配信の関係で見られないものはともかくとして。

ものすごく皮肉な物語。
インテリ一家の黒人の異端児、
セロニアスは小説家であり文学者。
だけど出版からは遠ざかり、
堅物であるが故に大学の授業からは追いやられ、
医師で母親の面倒を見てくれていた妹が急死。
弟は様々な事情から整形外科医でありながら生活が乱れ、
金のく麵も認知症を疑われる母親も彼に降ってきた。
そして売れない小説ばかり、
彼の理想を追って書いていることに、
エージェントらから散々なことを言われて、
半ば自棄になって世間が自分に求めるもの、
「如何にも黒人社会のダークサイドの実録」
それを書いてエージェントに送る。
そこから彼の人生が転がり始める。

くそ真面目で堅物でプライドが高い。
正直言って隣にいたら面倒臭い。
その男が自分とは正反対の男になりきって、
物語を作ってしまったからさぁ大変。
自業自得とも言えるが、
エージェントや編集者や映画関係者に踊らされ、
振り回されてこうなったと言うこともある。
とりあえず出版と映画化と言う道は拓けたが、
彼にとってそれは不本意の連続。
世の中で話題になったのは彼自身の書きたい本ではなく、
世間が黒人に期待する物語。
やがてそれが現実のセロニアスにも影響を及ぼす。

実にシニカルなコメディ。
正直声を出して笑うタイプではない。
ただなんとなくその皮肉にニヤニヤして、
追い詰められる主人公を醒めた目で見つめる。
だからと言ってそれほどの悲劇でもないし、
そのことによって彼は少しずつわかってくる。
世間や家族と自分の関わり方や生き方が。
そしてそれは決して悪いことでは亡い。
彼の人生がこうあるべきだったように、
アカデミー賞のバランスの中でも、
こういう作品があるべきだった。
わかりやすい娯楽大作や、
わかりやすい問題作ではなく、
アメリカのダイバーシティに潜む問題や、
そこに生きるティピカルではないマイノリティ、
彼らの問題を取り上げることが大事だったのだろう。

良い映画だ。
扱うべき問題を扱い、
それが皮肉に満ちている。
決して過激ではないが、
問題という問題を投げ込んでいる。
まさしく「アメリカン・フィクション」だ。
だからその意味と存在意義がある。
受け入れられる人そうじゃない人がいるだろうが、
それはそれで良いと思う。


ところで「Amazon Prime Video」では時折あるのだが、
オリジナル作品と古い作品の字悪
文章はおかしくないのだけど、
なんとなく違和感を感じる字幕なのだ。
おそらくは機械翻訳か、
AI翻訳なのだろうが、
何処かおかしな感覚を与える。
そして題名の直訳問題。
これがちょっとばかり問題なので、
劇場公開並みの字幕監修ができれば良いのに。

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