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Twitterまとめ投稿 2020/08/15 [moblog]


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「ぼけますから、よろしくお願いします。」 [ストリーミング]


ぼけますから、よろしくお願いします。

ぼけますから、よろしくお願いします。

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Prime Video


娘である「私」の視点から、認知症の患者を抱えた家族の内側を丹念に描いたドキュメンタリー。2016年9月にフジテレビ/関西テレビ「Mr.サンデー」で2週にわたり特集され、大反響を呼んだ。その後、継続取材を行い、2017年10月にBSフジで放送されると、視聴者から再放送の希望が殺到。本作は、その番組をもとに、追加取材と再編集を行った完全版である。娘として手をさしのべつつも、制作者としてのまなざしを愛する両親にまっすぐに向けた意欲作。

宮藤官九郎の大渋滞「生」副音声付! ACTIONオンライン映画祭Vol.1 『ぼけますから、よろしくお願いします。』

この企画に先立ってドキュメンタリーを観た。
事前の知識から、
決して暗いつらいものだけではないと思っていた。

意外なつらさが襲ってきた。
料理上手で洋裁も上手。
娘の乳ガンにも気丈に立ち会って、
周りにも気遣いを忘れない母親。
「ああ、うちの母親にそっくりだ。」
美人で何でもできていつも一番だった人。
そう言う人が病気になったとき、
果たしてどうなるかと言うことを、
私は過去の経験で嫌というほど知っていた。
違うのはこの母親はアルツハイマー型認知症で、
娘はすでに熟年となった女性であること。
これは40歳代の母親とティーンエイジャーの娘との関係と、
大きく違う点であり関係性も変わる。

比較的ゆっくりと進む病状。
最初の頃はアルツハイマー型認知症駄とはわからないくらい。
それでも症状は進んで行く。
娘は東京で仕事をしながら暮らし、
老親は二人で広島県呉市で暮らす。
「帰ってこようか」という娘に、
「お前は自分の仕事をしろ。自分達で何とかできる」と答える父親。
男子厨房に入らずの典型だった父親が、
母親の面倒を見ながら買い物や家事をする。
気付けば不器用ながら裁縫までするようになっていた。
少しずつ少しずつボケていく妻と共に、
毎日の生活をゆっくりとこなして行く。
しかしやがて二人でやっていくには限界が来る。
介護ヘルパーやデイサービスの利用を始めると、
私が思っていたとおりのことが起こった。
他人が来るまでは、或いは帰ってからは、
何かと文句を言っている母親が、
他人がやってくると急に機嫌を直して、
かつての社交的な性格を取り戻したかのようになるのだ。
こういう完璧な人にありがちな「外面の良さ」だ。
私は母親で散々経験してきた。
逆に他人の目がなくなったときに肉親に本音を吐露する。
愚痴る、文句を言う、いやがる、ぐずる。
やがて症状が進んでくると、
「こんな迷惑ばかりかけて死にたい」と言い出す。
かまって欲しいと言う意思表示なのだ。
私もそれでどれくらい悩まされたか。
念のために記しておくが、
家の母親は決して認知症ではなかったが、
長患いでおそらく精神的にかなり不安定だった。
完璧な母親が自分で自分を思うようにできなくなったとき、
その時の姿が映像と過去の記憶、
二人の母親が重なった。
分からず屋になったあとにお父さんがボソッと呟く。
「我が強いから」
そう、完璧な母親だからこそ我が強いし外面が良いのだ。

このドキュメンタリーを娘として制作者として、
こうした形で残すことはかなりキツかっただろうと思う。
でも私にはできなかったと思うし、
娘として母親を愛しているからこそ、
ここまでの映像を残す決意ができたのだとも思えた。
私は親不孝な娘だったし、
10代の8年間を介護と家事と学校に明け暮れて、
最後に看取るときに愛情があったか自分でもわからない。
だからこそ妻を慈しみながら面倒を見る父親、
二人を観察しながら娘として介入すべきは介入して、
夫婦の生きる記録を残した娘の気持ちの強さに頭が下がる。

これを基にして、
宮藤さんと伊勢さんが何を語るのか、
それはその時のお楽しみであるが、
きっと私が気付かなかった視点で楽しませてくれると思う。

ちょっとつらいところもあったけど、
素敵な夫婦の記録を魅せてもらって良かった。
と同時にまだ存命中の82歳の父親のことを思った。

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