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Twitterまとめ投稿 2020/08/28 [moblog]


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「牯嶺街少年殺人事件」 [ストリーミング]


牯嶺街少年殺人事件 [Blu-ray]

牯嶺街少年殺人事件 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2017/11/02
  • メディア: Blu-ray


【ストーリー】
1960年代初頭の台北。建国中学昼間部の受験に失敗して夜間部に通う小四(シャオスー)は不良グループ〝小公園“に属する王茂(ワンマオ)や飛機(フェイジー)らといつもつるんでいた。
小四はある日、怪我をした小明(シャオミン)という少女と保健室で知り合う。彼女は小公園のボス、ハニーの女で、ハニーは対立するグループ〝217"のボスと、小明を奪いあい、相手を殺して姿を消していた。ハニーの不在で統制力を失った小公園は、今では中山堂を管理する父親の権力を笠に着た滑頭(ホアトウ)が幅を利かせている。
小明への淡い恋心を抱く小四だったが、ハニーが突然戻ってきたことをきっかけにグループ同士の対立は激しさを増し、小四たちを巻き込んでいく。。。
:マーティン・スコセッシが設立したフィルム・ファウンデーションのワールド・シネマ・プロジェクトとクライテリオン社との共同で、オリジナルネガより4Kレストア・デジタルリマスター版が制作され、光と闇の世界を体感できる時が遂にやってきた。

今年の夏休みは短いので、
友人からのすすめもあり、
この1本4時間に費やそうと。

冒頭4Kレストア・デジタルリマスターが行われたことが説明される。
マーティン・スコセッシが設立した・・・云々。
なんだろうなぁと思った。
エドワード・ヤン監督の作品も初めてだし、
そもそもこの映画に対する事前知識も殆どなく、
これはどういうことなんだろうと。

主人公は外省人である少年。
彼らは第二次大戦終結後、
大陸から渡ってきた中国人。
生粋の台湾人である内省人とは違う。
外省人たちは戦前台湾を支配した日本人が建てた家に住み、
日本様式の家が嫌でも目に飛び込んでくる。
そして彼らは家の中で日本刀を見つけたりする。
とはいえ少年たちの青さ、真っ直ぐさ、純粋さは、
どこの国の少年でも変わりはなくて、
大人たちからすれば未熟で若いその痛さは、
1960年代の混沌とした時代の台湾の大人たちを凌駕して、
その輝きはまぶしくて目がくらむようだと思った。
だからこそ大人たちが抱える闇が際立ち、
少年たちもまた光と闇の狭間で苦悩するわけで、
その象徴的な存在としての懐中電灯の効果的な使い方、
思わず膝を打つような思いだった。

見始めて2時間(これで半分!)経った頃には、
「ああ、マーティン・スコセッシ好みの作品だなぁ」と感じた。
自分ではどうにもできない氏素性を抱えた少年たちが、
成長していく過程で仲間と切磋琢磨し、
或いは敵対関係になりながら、
淡い恋心が徐々に募っていく様など、
まさしく彼が愛するアイデンティティーを抱えた物語。

やがて純粋でキラキラした少年時代も、
現実を知るにつれて光よりも闇が見えてきて、
彼らも「ただの少年」ではなくなっていく。
後半2時間はひたすらに現実。
親たちも交えて転がるように、
抗うこともかなわず美しい少年時代が変わっていく。
そして変わったはずの世界に、
戻ってきた過去が大きく作用して、
純粋さは破滅的な形で昇華されていく。

アメリカに憧れる様相は、
まさしく台湾であり、
中国ではあり得ない光景であり、
それが非常に象徴的に少年たちを表現している。
ある意味「ウェスト・サイド・ストーリー」のようなのだが、
そこに台湾特有の事情を盛り込んだことで、
独特の世界観が形成されている。

確かに4時間は長い。
長いし家で観るからこそつらい。
むしろ映画館で浸りきった方が良いと思う。
それでも友人から「一気に観るのがお薦め」と言われたのは、
自分なりになんとなく理解した。
これは彼らの歴史の一部であり、
少年たちの生きた時代の総てであり、
どこでも分断できない流れがあるのだなぁと。
そして少年たちが「相変わらず」なのを尻目に、
少女たちは確実に女になっていくのも残酷な流れ。

少年たち少女たちの光と陰。 
 
夏休みのお題としては長く重い4時間だけど、
彼らの歴史として一気に味わうのは良い経験だった。

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