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Twitterまとめ投稿 2020/08/21 [moblog]


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「82年生まれ、キム・ジヨン」 [電子書籍]


82年生まれ、キム・ジヨン

82年生まれ、キム・ジヨン

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2019/02/13
  • メディア: Kindle版


内容(「BOOK」データベースより)
ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児…彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。女性が人生で出会う困難、差別を描き、絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作!韓国で100万部突破!異例の大ベストセラー小説、ついに邦訳刊行。 --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。

出版されたときから話題になっているのは知っていた。
しかし何となく躊躇。
その間に韓国映画にはまったことも手伝い、
10月にはこの本と同題名の映画も公開されるとのことで、
この映画はこの本を読んでおかないと、
本の後日譚ということを耳にして飛びついた。
本当は文庫になるのを待つつもりだったのに。

ショックだった。
韓国映画の中で観る女性たちは、
なんだかんだと言われながらも、
それでも生き生きと活躍していたし、
とてもエネルギッシュで男性と対等に渡り合っていた。
韓国という儒教の国で、
女性の地位がこんなこともあるのか、
本当に実力社会になっているのか、
そんな風に考えていたのが大間違いだった。
韓国という国について無関心な期間が長すぎて、
実情について全く知らなかったのだ。
女性の大統領が出てくるような国ならば、
映画やドラマの中の女性たちのような活躍は当然、
そんな風に思い込んでいた。
多少時代がさかのぼった作品でも、
女性たちはたくましくて一生懸命生きていた。

だからあまりにもショックだった。
まるっきり30~40年前の日本と同じだったから。

女性蔑視は全く変わらない。
求められることもやるべき役割も、
日本の戦前の家制度のころと変わらず、
仕事において求められることも、
決して日本は笑えないけれど、
かなり差別的な状況が当たり前だったのだ。
ラストのキム・ジヨンの状況からして、
この後を映画化したのは賢明かもしれない。
キム・ジヨン再生の物語として描かれた映画、
その方が観る側にとっても楽しみになる。

それにしてもこの本、
本編もかなりきついのだが、
あとがきや添付の資料や解説のほうがショックだ。
韓国での女性の過去、現状、見通しが、
容赦のない言葉で書かれて描写されている。
本編が終わって「あれ?」という感じのまま、
解説やあとがきを読んでいると暗澹とした気持ちになる。
「キム・ジヨンは私だ」と声が上がったのも納得だ。
これこそが現実だとばかりになったのも、
致し方なく当然の成り行きだ。

世界はまだまだ男性社会だ。
一見持ち上げられていても、
その実男の手のひらで転がされている状態かもしれない。
目に見える形見えない形で差別はずっと存在する。
それは男女だけに限らない。

見えない差別は自然と浸透する。
生まれ育つ過程で自然と身につく。
それはある意味文化にもなる。
だから恐ろしいし払しょくしがたい。
人はフラットには生まれついていない。
それは現実だ。
生きていく過程でフラットでなくなる。
それも現実だ。
だから差別をしていいわけではない。
差別を少しでもなくしていくためには、
世界が変わらなければならない。
未だにBLMが燃え盛るアメリカでも、
障碍者差別ともいえる優性思想が残っている日本でも、
世界中が変わらなければならない。

キム・ジヨンは明日の私だ。
キム・ジヨンは明日のあなただ。
いつどんな風に人は関係が変わるかわからない。


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