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Twitterまとめ投稿 2020/08/31 [moblog]


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「日本の戦争映画」 [電子書籍]


日本の戦争映画 (文春新書)

日本の戦争映画 (文春新書)

  • 作者: 春日 太一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/07/20
  • メディア: Kindle版


内容(「BOOK」データベースより)
戦後、日本映画はいかに戦争を見つめてきたか。元特攻隊の脚本家、学徒兵だったプロデューサー、戦地から生還した映画監督―。彼らが映画に込めた想いを追いつつ、スペクタクル、笑い、大スターの共演など多種多様な戦争映画の魅力を縦横に語り尽くす!

今回筆者自身が語っていたことだが、 
Stay Home期間に戦争映画をたくさん見直し、 
「これは一冊できるな」と思って一気に書いたと。

その「一気に書いた」片鱗がそこかしこに見える。
というのも、
筆者の本来の専門であるはずの時代劇と比較して、
作品の紹介が中心になることもあって仕方ないのだが、
非常に残念ながら薄っぺらい。
まえがきにもあるとおり、
イデオロギー的偏りを排除するためか、
戦前戦中の映画を省いたがために、
どうしても反戦的メッセージの抽出になり、
それが監督や製作者、脚本家たちの特色のつまみ食いになっている。
もちろん戦前戦中の映画を含めることは、
国威発揚映画、国策映画を含めることになり、
そこに思想的色合いが濃くなるので避けたのだろうが、
そうした映画の中にも名作といわれるものがあるわけで、
そこを排しても紹介するべきだったのではないかと思う。

というよりは、
戦後の日本映画史をある程度知っている人なら、
観たことはなくても知っている映画が多いのである。
かつ数多く紹介したいという筆者の考えからなのか、
扱う数が多いことによってその掘り下げ方も散漫になっている。
もちろん知らない作品もあるのだが、
多くは概要を知っている映画だったのは、
おそらく筆者の著書や出演番組を追い続けたからだと思いたい。
まぁ逆に言えばそういう人は読まなくてもいいのかもしれないが。

ともあれこの本の価値は、
巻末の片淵直監督との対談だろう。
筆者の真骨頂はインタビュー技術にあると思っているので、
やはり片淵監督との話にも独自の視点があると思われる。
この点においてこの一冊は価値をなす。

辛口ばかり並べたが、
日本の戦争映画について何も知らない、
今比較的観ることができる作品で知りたい、
そういう人は読んでみていいと思う。
多くの作品に興味をそそられるだろうし、
戦争映画における男女の立ち位置や階層の描かれ方や、
或いは特攻に対する姿勢の違いなどを知ることができる。
ただ筆者のディープなファンには、
筆者の知識のおさらい程度に感じられてしまう可能性、
そう感じる場合もあることは一応記しておく。

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